2012-07-03

ホルモー六景 万城目学

映画化もされた鴨川ホルモーのサイドストーリー。

僕はファンタジーや、この世に存在しない者が登場するようなストーリーが苦手なのだが、万城目さんの小説は、鴨川ホルモー鹿男あをによしプリンセス・トヨトミ偉大なる、しゅららぼんと読んでいる。どれも奇抜で荒唐無稽とも言えるようなストーリーなのだが、どうも万城目さんのストーリーは読まされてしまう。

新しい本が出ると、今度はどんな話しなのかと、ワクワクしてしまうのだ。

と、万城目ファンを自任しているかのような事を言ってみたが、残念ながら、この本の存在を知らなかった。とんだ似非ファンである。

鴨川ホルモーでは、とにかく体長20cmほどの、四頭身で茶巾絞りのような顔をした鬼同士を戦わせるという奇想天外なストーリーと、おっさんがえづくような音の鬼語に注意を奪われ、それぞれの登場人物の日常には、なかなか想像が及ばない。

鬼を使役しようと、どれほど人に見えない異形の者どもが見えていようと、頭頂部を剃り、髷を結っていようが、登場人物たちは、うら若き大学生なのだ。青春真っ盛り、ヤングマンさぁ立ち上がれよなのだ。

もう一度、鴨川ホルモーを読み直したくなるくらい、それぞれの登場人物が魅力的に描かれている。

高卒の私でも、経験していない妄想上の、華やかだが青臭く空回りなキャンパスライフが、ほろ苦く思い出される。

舞台は京都なのだが、私も京都大学と同志社大学にはお邪魔したことがあり、それもまた懐かしかった。

京都の地理に詳しい方なら町の描写なども楽しめると思う。

しつこいようだが、鴨川ホルモーと続けて読みたかった一冊である。

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